POPOLO様にインタビューさせていただきました
NPO法人POPOLO様は、現在、弊会が加盟フードバンク団体と連携して行っている「フードバンクこども応援全国プロジェクト」の参加団体です。今回は、弊会インターン生の川本と事務局の小林が、POPOLO事務局長の鈴木様にオンライン上でお話を伺いました。
POPOLO様の普段の活動の様子
インタビュー時の様子 左:川本(インターン生) 右:小林(事務局)
■インタビュー内容
・POPOLO様は普段どのような活動をされていますか。(川本)
鈴木さん:
私達は、生活困窮者自立支援法に基づき、住居の無い方へ一時的な住まいを提供する「一時生活支援事業」、一般就労に際してサポートを必要とされている方のための「就労準備支援事業」、生活に悩みを抱えていらっしゃる方の相談をお受けする「自立相談事業」の3つの事業を行政から受託しています。
また、それ以外の活動として、フードバンク事業や就労継続支援B型作業所の運営、前科のある方の出所後の更生をサポートする更生保護事業なども行っています。
・POPOLO様は現在多くの事業を運営されていますが、当初はどのような活動から始められたのでしょうか。(川本)
鈴木さん:
当初は夜回りや生活困窮者の相談に乗る活動を行っていました。
自分自身が元々経済的に豊かではない家庭で育った経験から、同じ境遇を経験した身として生活困窮者の方々をサポートする活動をすることに大きな意義を感じ、この団体を立ち上げました。
実際に当事者として貧困を経験した身だからこそ、見落とされがちな支援のニーズに気づき、提供できるサポートがあると感じています。生活困窮者へのサポートは、選択肢が非常に少ないのが現状です。生活困窮者の中には、様々な理由で生活保護が受けられない方や、福祉施設に入所できない方もいらっしゃいます。
そういった方々に対しても支援の手が届くよう、一時生活シェルターの運営や食料の提供などを行うようになり、ニーズに合わせて事業を拡大していった結果、現在の事業の形となりました。
・POPOLO様は、生活困窮世帯の子どもたちへの支援事業である「子ども未来応援事業」もされていますが、本事業ではどういった活動をされていますか。また今回の冬のプロジェクトの期間中は具体的にどのような活動を予定されていますか。(川本)
鈴木さん:
「子ども未来応援事業」ではまず、通年行っている事業として子育て世帯と定時制高校の生徒を対象とした、食料配布および相談会があります。
これらのイベントでは食料配布だけではなく、同時に相談会も実施することで、利用者の方々が食料支援をきっかけに、生活の困り事などを相談しやすくなる環境が生まれ、隠れた支援のニーズにも手を伸ばすことができています。
またそれ以外にも子どもたちの夏休み期間に、子育て世帯に対して食料配布と生活状況のヒアリングを行う「夏休み子ども食料支援事業」など、年間を通して様々な活動を行っています。
今回の冬のプロジェクト期間では、「静岡県子ども応援プロジェクト」の開催を予定しています。
プロジェクトの内容としては、地元企業や個人の支援者の皆様から支援金を募り、参加を希望される子育て世帯の皆様に、支援の必要度に応じて食料と金券の配布を行います。
また、参加者の皆様に、生活の悩みに関する相談窓口を紹介し、支援の幅を広げています。
・様々な事業を運営されている中で、印象に残った出来事を教えてください。(川本)
鈴木さん:
以前、食料支援を行った利用者の方から数カ月後に連絡をいただいた事がありました。
その方は当時、1歳のお子さんと車上生活をしており、経済的な支援を必要とされていました。そこで私たちが利用者の方の相談に乗り、行政にお繋ぎすることで、最終的にその方が必要とされている支援を受けることができました。
またある時は、連携している学校から17歳の学生への支援依頼がありました。
その学生に対して希望する支援物資のヒアリングをしたところ、「学習机と椅子が欲しい」という答えが返ってきました。その後、机と椅子を用意し、その学生のもとへ届ける事ができたのですが、17歳の学生が欲しい物に机と椅子を挙げたという事実は、日本における貧困問題の深刻さを物語っていると感じました。
この2つのケースに関して共通しているのは、食料支援がきっかけであるということです。生活困窮世帯の中には、悩み事を他の人には話しづらいと感じる方も多くいらっしゃいます。
そこでPOPOLOとしては、まず食料支援を通して利用者との関係を構築し、そこからLINEなどを通して継続的にやりとりをしていくことで信頼関係を強化し、利用者の皆さんが問題に直面した時に、頼れる存在としてPOPOLOを思い出していただけるよう努めています。
・POPOLO様は様々な事業を通して生活困窮世帯の支援をされていますが、鈴木様が普段活動されている中で感じる、生活困窮者支援におけるフードバンク業界の課題について教えてください。(川本)
鈴木さん:
生活困窮者支援において、多くの支援団体が抱えているのが人手不足の問題です。
多くの支援団体は少人数のスタッフで運営しており、一人でもスタッフが欠けると活動が止まってしまうという団体さんも少なくありません。また多くの団体には福祉の専門家やソーシャルワーカーが配置されておらず、食料支援以外のサポートに繋げにくいという現状もあります。
我々のようなNPO団体は、世間的にボランティアのイメージが強いと思います。
しかしボランティアに頼るだけでは、安定した人材の確保や運営の継続はできません。
NPO団体は、地域の様々な問題を解決する重要な社会資源です。ですのできちんと行政や国と連携して、各NPO団体が安定した運営を継続できるよう、社会基盤を整備していくことが必要不可欠だと思います。
お忙しい中、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。(川本)
インタビューを終えての感想
インタビューを担当させていただいたインターン生の川本です。
今回のインタビューではPOPOLOの鈴木様に、現在の各事業の内容や、今冬に実施される「静岡県子ども応援プロジェクト」の概要、また生活困窮者の支援活動をされる中での思いなどについてお聞きしました。
今回のインタビューを通して、私は現場の声に耳を傾けることの重要性を強く感じました。鈴木様はご自身が実際に貧困を経験された中で、そこから見えてきた支援のニーズをもとに事業を拡大されてきました。支援のニーズは多くが隠れて存在しており、見落とされていることも多いです。だからこそ鈴木様のように、現場の支援のニーズに気づくことができる方の存在は非常に重要だと思いました。
より多くの方に必要とされている支援が行き届くよう、私もこれからのインターン活動に取り組んでいきます。
NPO法人POPOLO様の取り組み
POPOLO様は生活困窮者支援団体として、フードバンク事業のみならず、一時的な住まいを必要とされている方への生活シェルターの提供や、就職を希望される方の就労支援など、幅広い支援事業を運営されています。
NPO法人POPOLO様の活動の詳細はこちら http://npo-popolo.org/