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声を掛け合える地域を作っていきたい


フードバンク狛江設立総会

~加盟フードバンク団体活動紹介~

NPO法人フードバンク狛江理事長の田中妙幸(たえこ)さんにお話を伺いました。

■団体沿革

2014年12月 「フードバンクを考える会」を発足

2015年2月  「フードバンクを考える会」第1回学習会開催

2015年7月  「フードバンクを考える会」第2回学習会開催 フードドライブ実施

2015年7月  こまYELL(市の生活相談窓口)を通じての緊急食糧支援を実施

2016年2月  「NPO法人フードバンク狛江」設立総会を開催

2016年5月  NPO法人の認証・登記完了

■活動を始めようと思ったきっかけ

近所のひとり親家庭との出会いがきっかけでした。お母さんが帰ってくるのが遅く、一番下の小学生以外の兄弟はアルバイトをしていて、その小学生は一人、家族の帰りを待っていました。お互いに声をかけるようになって、買いすぎて食べきれない野菜を半分もっていったり、数回ぐらいでしたが、その小学生に夕食をもって行ったりのお付き合いが始まりました。

その母親の方は正規職員で休日も働いていても、アパート代を差し引くと数万円しか残らない。ひとり親の家庭の大変さを改めて知ることになりました。ちょうどそのころクローズアップ現代でフードバンクという活動を知り、これならそのような家庭を助けられるのではないかと思いました。

番組で取り上げられたフードバンク山梨に電話し、テレビを見た3日後にフードバンク山梨を訪問しました。活動を見に行った際に、「新しく団体を立ち上げるのであれば、まずは賛同者を集めて設立に向けた学習会をするよう」助言を受けました。帰りの電車の中で「私にフードバンクなんて立ち上げられるか?それでもやってみたい!まずは学習会でフードバンクを知ってもらおう、山梨の米山けい子理事長を呼ぼう。」と考えながら帰ってきました。

学習会開催に向けて、社会福祉協議会にチラシを置くなど、活動に一緒に取り組んでくれるボランティアを募集したところ、学習会の開催に協力していただける方が数人集まりました。背中を押してくれる方々の協力もあり、立ち上げに向けた活動をスタートすることが出来ました。 

実は活動を始めるまでは、貧困問題に問題意識はありませんでした。「狛江の貧困の現状を知りたい」と市の福祉課にも押しかけ、「フードバンクを一緒に考えませんか!」と苦労して作った呼び掛けチラシと買って読み終えたばかりの「フードバンクという挑戦」という、セカンドハーベスト・ジャパンのチャールズ氏の日本初のフードバンクの取り組みを描いた本までもっていったくらいです。0からの出発でしたから必死で食品ロスや貧困問題の本を読んで勉強するようになりました。

■支えてくれる人々

フードバンク活動を始めてからそれまでの暮らしが一変しました。時には活動に疲れ果て、「元気がでない」と思う時もあります。そんな時に市民の方から食品の寄贈が届くんです。それを開けた時に、私たちの取り組みを理解して下さっていて、「こんな(寄贈の)手伝いしかできないけれど、大切なこと頑張ってください」、「着いたと返事はいらない、その分休んでください」、「6人に1人の子どもが貧困、いいわけがないね!フードバンクはいいよ!」というお手紙を頂いたりするんです。

ともに活動している会員の皆さんや食品を寄贈してくださる方々、私たちの志を理解してくれる、たくさんの方々の支えがあるからがんばってこられました。そういう方々の想いも伝えていきたいと思っています。

狛江市の困窮相談支援の窓口になっている「こまYELL(エール)」の皆さんとフードバンク狛江が連携できたことも幸運でした。支援して繋ごうとする社会福祉士の方々で、少数精鋭で、相談や支援に走り回っています。こまYELL(エール)ではフードバンクからの食料支援を受けて、市の相談窓口で今日、明日の食に困っている方へ渡せるという状況が作れました。フードバンク狛江としては「渡す食べ物がもうありませんとは言えない、頑張るよりない」と思ってきました。その思いがここまで頑張れたエネルギーだろうと思います。

食の緊急支援のフードバンク狛江を立ち上げて気づいたことは、「もう食べることもままならない」こんな状況を誰かに「SOS」の声を上げる、そのハードルはとても高いということ。それがどれほど訴えにくいことなのかを実感しています。困窮している方は時として関係性が疎遠になっていたり地域社会で孤立していたり、体や心の病を抱えて苦しまれていたりします。フードバンクができる事は本当に小さなことで、繋がってご支援できる世帯も限られています。拾い上げる難しさも実感しています。だからこそ協力いただいている方々と細やかにつながっていく努力をしようと考えて広報もしてきました。

■声を掛け合える地域を作っていきたい

2014年に近所で孤独死がありしました。50代ぐらいの方でしたが、誰にも気付かれず、亡くなって2週間通報されませんでした。家族と暮らしている方でも必要な情報が入っていなかったりします。近所の高齢者の方に「どうやってデイサービスに行けますか?」と聞かれたりします。相談するところの情報も入っていないんだなと思いました。地域社会の中では、困窮者のこともまた拾い上げようとしないと、繋ぐことが出来ないのだと思いました。拾い上げるにはフードバンクだけでは足りないのです、行政はもちろん社会福祉協議会や支援団体、お隣の方であるかもしれません。そういうところで声を掛け合って支え合える地域を作っていきたい。今はそういうことを考えながら、活動をしています。

フードバンクが地域を活性化させるきっかけになればいいなと考えています。困っている人も包摂していけるような社会、声を掛け合える地域を、繋がってきてくれた方々と模索し作っていきたいです。

■活動を進める上での課題

困窮者をどうやって拾い上げるかという事、また困窮世帯や支援団体への食品提供の基準をどこに置くかということが課題です。 

また、定期的なボランティアが不足していることが喫緊の課題となっていますので、活動を手伝ってくださる方を募集しています。

活動の性質上、無償提供を原則として利益を生むことのない持ち出しの社会活動です。入会した方の会費、寄付等で何とか活動しております。資金面のご協力もいただけると、とても助かります。

■フードバンク狛江のボランティア情報

フードバンク狛江のボランティア活動は、短時間でも気軽に参加することができます。年齢、職業を超えて、様々な方が参加しています。

食品の仕分け・整理 フードバンク狛江には、不定期にさまざまな食品が届きます。届く食品を、食品、賞味期限等の記録作成・仕分けする作業のお手伝いをしてくださ 

る方を募集しています。

イベント時のスタッフ フードバンク狛江は、フードバンク活動の普及の活動として、提供する食

品の確保(フードドライブ)や講演会などを行っています。その際の受付

や設営などのイベント運営を手伝ってくださる方を募集しています。

その他にも、 ・PCスキル支援(会計処理や食品情報の入力など) ・企画資料の作成(パワーポイントなど) ・講演会・学習会などの企画立案、実行委員会運営など ・助成金、補助金、ファンドレイジング等、資金調達  など、専門分野のスキルをお持ちの方のボランティアも大歓迎です。

ボランティアにご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせください!

                  聞き手:全国フードバンク推進協議会事務局長 米山広明

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